近年、日本では高齢化がどんどん進んでおり「老老介護」や「病病介護」という問題が出てきています。TVのニュースやネットなどでこのような言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?これだけではなく、さらに最近では「認認介護」が増加している傾向にあるそうです。
今回はこの問題を正しく知り、どう対処していけばいいかを考えていきたいと思います。
まずはおさらい!老老介護とは
『老老介護』とは、言葉の通り高齢者の方が高齢者を介護することを指します。
例えば、「ご高齢のご夫婦が配偶者を介護している」場合や、「ご高齢者が自身の父母を介護している」などで、そのパターンはいくつかあります。このような『老老介護』が増える要因は、核家族化が進んだことによって高齢者のみの世帯が増加している事がひとつではないかと言われています。
そして、今後、超高齢化社会に突入していくと言われている日本では避けて通れないものです。『老老介護』は、高齢者同士でも頭も体も割と健康であれば介護もなんとかできますが、どこかを患ってしまうと途端にそれが出来なくなってしまいます。それが「病病介護」であったり「認認介護」というものです。
病病介護とはいったい何?
次に『病病介護』についてですが、こちらも言葉から想像できる通り、「なんらかの病気を持つ方が病気を持つ方を介護する」というパターンです。
病気を持つ子供が親を介護するなどが、これにあたります。『老老介護』の場合の様に、お互いが高齢化することで病気の方が介護しなければならないという場合もありますが、親の介護をしている子供さんが病気を患ってしまうということもあるので、ご高齢者同士の介護の場合だけではないこともあります。『病病介護』の場合は、病気になってしまった介護者の方が「もう自分では介護できない」と判断できるのでヘルパーを頼んだり、施設に入れたりという手段を取ることができます。お金や家庭の環境などで一概にはいえませんが『病病介護』の場合は「私は、誰かの介護をしている」という認識ができていて、なにかしらの手段を講じることができる状態です。
では、本題!認認介護とは
それでは本題の『認認介護』とは何なのかをご紹介します。今までの流れから想像がつくと思いますが、読んで字のごとく「認知症の方が認知症の方を介護している状況のこと」です。
普通に考えて「認知症の方が認知症の方を介護する」事など難しいと思いませんか?
ではなぜ、『認認介護』が増加しているでしょうか。『認認介護』増加の原因の一つは『病病介護』等と同じく核家族化が進み、高齢者のみの2人暮らしが多くなることでこの問題の増加を招いているといえるのではないでしょうか。例えば、家族が近くに住んでいてしばしば様子を見に来れる状況でしたらまだしも、現在の日本ではそれもままならないことが多いそうです。
もう一つは、日本の認知症の診断が優れているからと国立長寿医療研究センター理事長・総長の鳥羽研二氏が述べております。日本人の遺伝子や生活習慣が認知症になりやすいと言われているということもありますが、日本の認知症診断は非常に優れていて、他国に比べると認知症と診断された人は数倍に上ります。これが相対的に『認認介護』が増えているという理由にもなっています。
認認介護で起こっている事故
日本では、現実に認認介護が原因で起こってしまった事故が数多くあります。2013年のことですが、東京都港区でこのような事件がありました。
認知症を患っている夫婦が熱中症で1階の部屋で倒れているのを夫婦の息子が発見し通報したもの、搬送先で亡くなってしまいました。さらに2階では死後2~3週間たった夫婦の兄の遺体が発見されたそうです。
このように、認知症で介護を行うと認知症の度合いにもよりますが、お互いがお互いを介護するどころか、自分のことさえも認知できない状況になっている可能性が高くなります。具体的には食事の管理、服薬の管理を忘れてしまい体調を崩してしまうことが起こったり、火の不始末や介護の放棄、虐待なども起こりやすいと言われています。実際に認知症の夫の介護をする認知症の妻が、排泄介助を嫌がる夫を殺害してしまった事件が起こったこともあるそうです。
どうしたらいいか
『認認介護』をできるだけ招かないようにするためには
- 1.まずは認知症にならないように予防をする。(脳トレなど)
- 2.認知症になったことに早く気付く
- 3.高齢者の様子を家族やご近所が見守る
が必要であると筆者は考えます。
1.は高齢者自身でできることですが2.3.は周囲の方々の協力が必要になってきます。ぜひ、お近くに高齢者さんがいらっしゃる場合は、頭の隅において気にかけてみてください。
まとめ
今回は、これから増加してくると言われている『認認介護』についてご紹介してきました。いかがでしたか?
『認認介護』は『老老介護』よりもさらに大きな問題を抱えています。普段の生活やそれぞれの家庭事情もある為、個人での問題解決がなかなか難しい問題かもしれません。しかし、人は誰でも年を重ね、どこかしらに問題が出ることは間違いありません。例え家族ではなくても、周囲の人たちで協力できる世の中を作っていけたらと私は思っています。もしも、お近くの方の認知症が発覚したら施設にお世話になることを検討したり、『認認介護』状態にならないような手助けをしてあげられたらよいですね。