高齢者とのコミュニケーションがグンとうまくなる技5つ

お悩み


自分よりもひとまわりもふたまわりも年上の方とのコミュニケーション。老人ホームや介護施設で働いていれば、そんな高齢者とのコミュニケーションが必須です。

ところがお年寄りとの接し方がよく分からず、なかなか会話が盛り上がらないという悩みを抱える介護職初心者も多いようです。

一口に高齢者と言っても、聴覚のコンディションや認知機能の衰えの具合など、その身体の状態はさまざま。

そこで今回は、その方の状態に合わせて、ご高齢の方とのコミュニケーションが楽しくなるコツを、5つにまとめてご紹介します。

もしあなたが、高齢者とのコミュニケーションにストレスを感じているなら、あてはまる項目からぜひ試してみてください。

コツ1:低めの声ではっきり話す

大きい声で話しているのに、何度も聞き返されてしまったり、反応がなかったり・・・。そんな体験をすると、どのくらいこちらの話が通じているのか不安になってしまいますね。

実は60代以上になると、若いときと比べて高い周波数の音が聞こえにくくなります。体温計のピピッという電子音などは、聞こえにくい音の代表格。

たとえばあなたが若い女性で声が高めであったりすると、「大きな声で話しているのに伝わらない」ということが起こります。

また、全部の音が聞こえないわけではないので、耳元で大声を出されたりすると、当たり前ですがとても不快に感じます。

高齢者にちゃんと聞こえるように話すには、やみくもに大声で話すのではなく、「低め」の声で「はっきり」と。あまり情報は詰め込みすぎず、言葉を区切って話すと理解してもらいやすくなります。

また、横や後ろから話しかけるのではなく、なるべく正面から話しかけることも大切。相手がベッドや車いすの場合などは、体勢を下げて目線を合わせるのもおすすめです。

こうすると話している人の口の動きがよく見えるので、聞き取りやすくなるのです。

コツ2:よき聞き手になる


高齢者と話していると、同じ話を何度も繰り返すことがよくあります。

これは、高齢になると短期記憶を忘れやすくなるから。「この人にこの話をしたな」という記憶が、すぐに抜け落ちてしまうのです。

一方で、子供の頃や若い頃といった長期的な記憶はしっかり残っています。そこで、昔の話をつい繰り返してしまうことが起こるのです。

何度も聞いた話だと、つい「その話はもう聞いた」と指摘してしまいたくなりますが、高齢者とのコミュニケーションを円滑にするには、まず「よき聞き手」になることを優先しましょう。

相手の話に真摯に耳を傾ける「傾聴」が、介護士が利用者と接するときの基本的なスタンスとなります。

具体的には、相手の話を遮らないことや、批評や否定をしないこと。相手に起こったことを自分に置き換えて共感しながら聞けば、熱心な相づちや「それでその先どうなったんですか?」といった、会話が弾む質問が自然に飛び出してくるでしょう。

ただし、まったく興味が持てない話題に興味があるふりをするなど、自分自身の感情に嘘をつくのはNG。こうした嘘は必ず相手に伝わって、信頼関係を壊してしまうからです。

実は相手の話に共感できないのは、「自分自身に余裕がないから」という場合がほとんど。

高齢者とじっくり話して信頼関係を築きたいと思ったら、二人で散歩に出かけるなど、ゆっくり話せる時間をとるのがおすすめ。次の業務に追われることなく、おおらかな気持ちで相手と話すことも傾聴を成功させるコツのひとつです。

コツ3:ネガティブな話は多い人には用事を頼む

いくら「傾聴」が良いと言われても、「早くお迎えが来てほしい」「私なんて邪魔でしょう」などとネガティブな話ばかりする人に対しては、どう答えればよいのか困ってしまいますね。

そんなときは、その人が若いときにやっていたこと、得意なことに話題を変えて、分からないことを質問したり、教えてもらうようにしたりすると良いようです。

「君じゃなきゃダメなんだ!」と誰かに頼られると、ムクムク気力がわいてくるのは私たちも同じですよね。

自分が人の役に立っていると感じることは、QOL(生活の質)を高めるためになくてはならない感情です。

同じ理由で、その人ができる用事を頼むのもおすすめ。施設内の鉢植えに水をやる、洗濯物をたたむ、庭仕事をする、配膳を手伝うなど、ちょっとしたことで良いのです。

決まった時間に体を動かすことで、生活にメリハリがつくこともメリットです。

ネガティブな発言を繰り返す人は、自尊心が傷つけられている状態。得意なことでたくさん充実感を感じてもらい、自尊心を取り戻してもらいましょう。

コツ4:認知症の高齢者と接するときは、相手の世界に行ってみる

認知症が進行している場合、現実とは全く違うことを言われることがあります。そんなときは事実と違うことを指摘したり否定したりせず、相手の世界に遊びに行く感覚でコミュニケーションをとってみましょう。

たとえば「家に帰りたい!」と徘徊してしまう認知症高齢者に「ここが家ですよ」と言い聞かせても問題行動は収まりません。相手の世界ではたしかに家ではないのですから、まずはそれを受け入れること。

心細さを感じている利用者の気持ちに寄り添い、「そんなに急がないで、もう少しゆっくりしませんか」「お茶が入りましたよ」などとやんわり話題をそらし、気分を変えてもらいましょう。

認知症の場合は、先生だった人、企業の取締役だった人など、その人にとって一番良かった時代に戻っていることもあります。

そんなときも相手の世界を否定せず、むしろ遊びに行く気持ちで、「先生、生徒が待っていますよ」「社長、大事な会議があります」と話を合わせてみましょう。不安な気持ちが落ち着き、介護がスムーズになることがあります。

危険なことや命に関わるようなことの場合は、別途対策を講じなければなりませんが、そうでない場合は相手の世界を受け入れ、上手に嘘をついたり話を合わせることも介護のテクニックのひとつです。

認知症の人は、自分が自分でなくなってしまう不安やとまどい、怒りや焦りといつも戦っています。また、起こったことをすぐ忘れてしまう一方、喜怒哀楽、快・不快といった感情はしっかり感じています。これらのことを心に刻んで、認知症高齢者と接するようにしましょう。

コツ5:非言語コミュニケーションを活用する


言葉よりももっと多くを伝えるのが「態度」です。

アメリカの心理学者・メラビアンの実験によると、言葉によって伝わる感情はわずか7%にすぎず、残りの93%が声の調子や視線やしぐさといった、非言語コミュニケーションによって伝わっているのだそうです。

高齢者が話をしだしたら少し前のめりになって、話に興味があることを伝えましょう。また、会話中は相手に対してあたたかいまなざしを向けるようにしましょう。

相手が落ち込んでいるなら、背中をさすってあげたり、手を握ってあげたりするのも良いことです。

もちろんこうした態度は、なかなか取り繕ってできるものではありません。心から高齢者とコミュニケーションをとるのは楽しい、もっと話を聞きたいと思うことが、非言語コミュニケーションを上手に使えるようになる一番の近道です。

高齢だからといって特別ではない


高齢だからといって何も特別なことはありません。「人から認められたい」という欲求は、老若男女問わず、誰の心のなかにも存在します。

その人の声に真摯に耳を傾けることで、その欲求を満たし信頼関係を築くことができます。

高齢になると頑固になったり、怒りっぽくなったりするから、コミュニケーションがとりづらい・・・そんな風に思い込んでいるとしたら、それは間違い。

歳をとるにしたがって、私たちは誰でも体の機能が衰えていきます。話を聞いてくれない、何も話してくれない、気難しいといった印象は、単純に聞こえないだけ、発語がしにくいから黙っているだけ、といった老化現象の現れである可能性が高いのです。

逆にそれらの点に注意して会話すれば、長く生きて多くの人生経験を積んだお年寄りとの会話は、私たちにとってとても刺激的で味わい深く、おもしろいものであるはず。

高齢者と楽しくコミュニケーションをとっている先輩介護士を、注意してよく見てみましょう。低めの声ではっきり、目を見て、ジェスチャーも交えながら・・・きっと先輩介護士は、前述の5つのワザを自然に使っています。

これらのコツを少し意識しながら、ぜひ高齢者とのコミュニケーションを楽しんでみてくださいね。

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