今日から役立つ!介護の基本(4) トイレ問題の対処法

使えるハウツー


排泄は、人間の営みのなかでもっとも基本的なことでありながら、とてもデリケートな部分でもあります。

介助される人の気持ちを傷つけることがないよう、こまやかな心遣いも必要になるため、排泄介助は難しいと感じる人も多いのではないでしょうか?

介護初心者の方に向けて、すぐに活用できる基本技術をご紹介するシリーズ第4回は、排泄にスポットを当ててご紹介します。

介護においてひとつのヤマとなるトイレ問題。ていねいに向き合うことで、お年寄りの前向きな変化を引き出すことができるかもしれません。

排泄介助の基本


排泄介助においても基本のスタンスは「できることは自分でしてもらう」こと。

何ができて何ができないのかは、人それぞれ違います。こちらのやり方を押し付けるのではなく、できること、できないことをしっかり見きわめて、その人に合わせたケアをすることが大切です。

このとき、環境が整えば解決する部分がないかを見きわめることも忘れないで。適切な場所に手すりを設置するだけでも、立ち上がりや歩行の助けになり、その結果、排泄介助がグンとラクになることがあります。

手すりに加えて適切な用具や照明、トイレへのフラットな導線といった環境を整えることも、排泄介助の大切なプロセスです。

実は高齢になると筋力が衰え、便秘になりやすくなります。便意を我慢するとタイミングを逃し、よけいに便秘になってしまいます。

薬に頼らず自然な排便をするためにも、行きたいときにトイレに行けるかどうかは切実な問題。トイレに行きやすいように環境を整えたり、小さなサインも見逃さず、タイミングよくトイレへ連れて行ったりするという配慮がとても大切です。

できるだけトイレで排泄しよう

立つ、座るができればトイレでの排泄を検討しましょう。手すりや歩行器などを上手に使えば、トイレまで移動できるかもしれません。

車イスで移動するのであっても、やはり慣れ親しんだトイレで排泄できるのが、本人も一番気持ちが良いものです。

車イスでトイレまで移動するときは、トイレが広ければ、車イスを便器と直角になるようにつけます。(下図①)自分でできる人は手すりを利用して車イスから便器へと移乗してもらい、介護する人は危険がないよう近くで見守ります。

トイレが狭く、車イスを直角につけられない場合は、車イスを便座の正面orななめにして、便器から少し離してつけます。(下図②)これは、お年寄りが方向転換できるスペースをつくるため。自分でできる人は、手すりにつかまりながら立ち上がって方向転換してもらい、ズボンや下着を降ろし、トイレに座ってもらいます。

基本はこうした流れのなかで、その人の状態や必要に応じて介助を行ないます。見守るときは、プライバシーに配慮することを忘れないようにしましょう。

ポータブルトイレを使うとき

トイレまでの移動が難しい場合、座ることができればポータブルトイレを使って居室で排泄することを考えます。

ポータブルトイレのメリットは、排泄のたびにトイレの場所まで移動しなくてもよいため、介護する側、介護される側双方の負担を減らすことができること。トイレの場所が遠いなどの事情があっても、ポータブルトイレが使えれば、オムツを避けることができます。

デメリットとして考えられるのは、ニオイの問題や、トイレ以外の場所で排泄をすることへの心理的抵抗など。できるだけ換気を心がけ、ニオイ対策には専用消臭剤を利用してみましょう。また衝立などを利用してパーソナルなスペースをつくり、心情に配慮しましょう。

ポータブルトイレをベッドサイドに置く場合、高さをベッドと合わせておくとスムーズに移乗ができます。高さが合っていない場合は、調節機能を使って合わせておきましょう。

ベッドと高さを合わせたら、トイレがベッドと平行になるように置きます。ベッドに介助バーを取付けると、それを利用してラクにポータブルトイレへ移動することができます。介助バーを利用すれば、ズボンや下着の上げ下ろしが自分でできることもあります。注意深く様子を見てみましょう。

尿器や便器を使うとき

座った姿勢を保てない場合は、ベッドの上で尿器や便器を使って排泄する方法があります。

多少慣れる必要はありますが、トイレまで移動しなくても排泄でき、オムツと違って皮膚に排泄物が触れることが少ないので、肌への刺激も抑えられるのがメリットです。

介護用オムツを使うとき

尿意・便意を感じないときや、トイレや排泄用具が認知できない場合は介護用の紙オムツを使います。

紙オムツには、大別してテープ止めタイプ、パンツタイプ、尿パッドタイプがあります。

テープ止めタイプは寝たままでも交換がしやすく、横になった状態でも漏れにくいため、寝たきりなど要介護度が高い人に適しています。

ただし尿意があるのにこのタイプのオムツを常用していると、次第に尿意を感じなくなってしまうことが。ムレや肌に付着した排泄物などでかぶれる可能性や、意欲の低下につながるデメリットもあるので、尿意がある人にはむやみに使用しないようにしましょう。

介助があれば歩ける人なら、動きやすさを重視してパンツタイプを選びましょう。普通の下着と同じような感覚で着用でき、抵抗感が少ないのが特徴です。

尿パッドと併用すれば、汚れても尿パッドだけ交換すればよいのも便利です。ただしオムツが汚れていなくても、1日1回は交換するようにしましょう。

テープ式もパンツ式も、不快感や不具合をできるだけ少なくするためには、サイズ選びが重要です。ウエストは合っていても、太ももサイズが合っていないと漏れの原因になることも。きちんとチェックして、その人の体型に合ったものを選びましょう。

在宅介護のトイレ問題


在宅介護の場合、よくある問題としてトイレの汚れが挙げられます。

まだまだ元気で排泄を手伝うほどではない場合でも、トイレでの失敗が多くなってくると、家族の負担も増えてしまいますよね。

解決策としては、トイレの床に足形を描いて立ち位置の目安にしてもらったり、便器にバツ印をつけて排尿の際の目印にしてもらったりすると、改善することがあるようです。

また、トイレのために夜中に何度も起こされ、介護する人のストレスになっているという悩みもよく聞きます。トイレが遠い、段差があるなどで、夜中に1人でトイレに行くのが難しい場合は、夜間だけでもポータブルトイレや尿瓶などの使用を検討してみましょう。

ときどきショートステイなどの介護サービスを利用したりして、介護する人がゆっくり休める時間をつくることも大切です。

頻尿や排尿困難などがある場合は、何らかの病気が隠れているかもしれません。治療することで改善し、家族の負担が減ることもありますので、気になる場合は医師に相談してみましょう。

快適なトイレライフは介護の要


排泄は究極のプライベート。誰しも、できることなら人の手は借りたくないと願っています。

これはできない、あれはできないと決めつけてしまわず、できないならできるように環境を整えてみましょう。いろいろな方法を試してみると、意外にコレできたんだ!と気付くことがあるかもしれません。

排泄は毎日何度も行うものですから、自分でできることが増えればリハビリにもなり、寝たきりを防ぐことができます。

快適なトイレライフを追求することは、介護される人、介護を行う人の両方にとって、大きなメリットがあるのです!

【今日から役立つ!介護の基本】
1.上手な声かけ
2.ラクラク着替え介助
3.立ち上がりと起き上がり
4.トイレ問題の対処法
5.食べるを楽しむ食事介助
6.介護記録の上手な書き方
7.車椅子と移乗のコツ

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