介護職についてまだ間もない人や、介護について学び始めたばかりの人は、「介護アセスメント」ときいても、ピンとこないかもしれません。
そこで今回は、介護業界におけるアセスメントの仕事内容について、事例を挙げながら詳しく解説していきます。
介護業務におけるアセスメントとは?
アセスメントとは、介護過程の第一段階において、利用者の課題分析をする為に、何を求めているのかを正しく知るために行われる評価や査定のことを示しています。
ちょっと難しく感じるかも知れませんが、つまるところ介護アセスメントは、利用者の現在の状態をよく知り、利用者が何を求めているのか、希望・要望を掴むために行われます。
アセスメントは、事業所が定めている用紙に記入したり、システムに入力したりして作成されます。
そして、作成されたアセスメントシートを元にして、利用者1人1人にあった介護計画書が作成されるのです。
アセスメントシートの共有先は、介護計画の作成担当者のみならず、介護・看護スタッフなど、その方に関わる職種すべてに及びます。
介護アセスメントを行う職種
介護アセスメントは、ケアマネジャーが担当することが多いです。
事業所によっては、担当している利用者のアセスメントを、介護スタッフが行うこともあるようです。
つまり、ケアマネジャーだけでなく、介護に携わるすべての人が、アセスメントに関わる機会があり得ると言えます。
介護アセスメントを行うタイミング
利用者に対する介護アセスメントは、サービスの利用中何度も行われます。
最初に介護アセスメントが行われるのは、サービスの利用開始時です。サービス開始時には、介護計画書が必要になるのですが、先述したようにこの介護計画書の作成には、アセスメントで得た情報が反映されるわけです。
上記で述べた、介護サービス利用開始に伴うアセスメントに加え、利用者の状態が変化した時、介護保険の更新が行われた時などにも、介護計画書の見直し・それに伴うアセスメントが、再度行われます。
アセスメントにおける情報収集の対象人物
介護アセスメント(利用者についての情報収集)の対象になるのは、以下の方々です。
- 利用者本人
- 利用者家族
- 親戚など、利用者本人の介護に関わりのある方
- 必要であれば民生委員など、地域で関わりを持ってくれている方
- すでに利用していたサービスなどがあれば、その担当者
- 診察を受けている病院の医師や看護師
~利用者本人およびその周辺の方からのアセスメントが必要な理由~
利用者本人からの情報収集は、もちろん重要です。
ですが、本人からのみ情報を得ても、介護の計画として活かすには不十分であると言えます。
それは、認知症の利用者が、自分の置かれている状況をしっかり把握できているとは限らないということや、本人のニーズと家族のニーズにずれが生じている可能性があるからです。
例えば、認知症の利用者は、若い頃と性格が変わっていたりします。昔はどうだったのか、その人らしさを知る上で、若い頃のご本人を知る人に情報提供を求めることが必要です。
また、本人は大丈夫だと思っていても、家族はサービスの必要性を感じていることもあります。利用者本人はもちろんのこと、家族のニーズも把握することで、”本当に”求められる介護サービスを提供することができるのです。
介護アセスメントを行うときの重要ポイント
身体機能や周囲の環境、求めているサービスや目指している状態などは、利用者1人1人によって違います。
介護アセスメントでは、これらたくさんの情報を知らなければなりませんが、利用者の負担も考えて、あまり時間をかけすぎないように、ポイントを押さえて聞き取りを行うようにしましょう。
的確な聞き取りを行うために、事前に、利用者本人から聞き取ったり、本人の様子を見たりすることでしか把握できない項目をピックアップしておいてください。
家族のニーズや、家族から見た本人の情報などはご家族に確認し、医療情報については主治医意見書などから情報を得るというように、「この人にはこれを聞く」と明確に分けてアセスメントを行うと、スムーズに情報を集めることができます。
介護アセスメントの必要項目
介護アセスメントに必要な情報は以下のとおりです。
- 利用者本人の希望(目標)
- 利用者家族の希望(目標)
- 家族構成
- ADL(日常生活動作)
- 居住環境
- 介護の状況
- 生活歴・趣味など
- 現在の1日の過ごし方など
利用者1人1人の身体状況を把握することはもちろんですが、“利用者その人を理解する”という体で、様々な角度からアセスメントを行うことが理想です。
介護におけるアセスメントとは?事例でわかりやすく紹介、後半は