今日から役立つ!介護の基本(7)車椅子と移乗のコツ

使えるハウツー


介護の基本7回目は、お年寄りを車椅子に乗せて移動する際のコツや注意点、ベッドやトイレなどから車椅子へ乗り込んだり、逆に車椅子からベッドやトイレなどへ乗り移ったりする際の、「移乗」にまつわるコツや注意点をご紹介します。

介護職にとって、車椅子の取り扱いはきっちりマスターしておきたい基本の動作。乗り移る瞬間は身体が不安定になり、転倒しやすくなるうえ、ムリをすると自分自身に負担がかかり、腰痛などの原因にもなりがちです。

利用者も自分もムリなく不安なく利用できるよう、安全&快適な車椅子の取り扱いについて、ポイントをぜひ押さえておきましょう!

その車椅子、ほんとうに利用者に合っていますか?


私たちが合わない靴を履くと、靴擦れをおこしてしまいますよね。車椅子も同じで、使う人の体格に合ったものであることが大前提です。

サイズの合っていない車椅子では、「仙骨(せんこつ)座り(ズレ座り)」という状態が起こりやすくなります。

これはお尻が前に出て、背骨が曲がって胸部が圧迫されている状態。呼吸や消化がしにくいため、食欲がなくなったり便秘になったり、さらには意欲低下やおむつ漏れ、床ずれ、骨の変形などの原因になることもあります。

これを防ぐために重要になってくるのが、車椅子のフィッティング。

まず、車椅子のシートは布製なので、長時間座るのには適していません。シートにはクッションが必需品と心得て。お尻を安定させて仙骨座りを防ぎ、姿勢を安定させます。

また車椅子の座面の奥行きが大きすぎると、お尻を前に滑らせて座ってしまいます。その場合は背もたれにクッションなどを立てて入れ、その人の太ももの長さに合わせて調節するのも手。

そして、足を乗せるフットレストの高さも合わせましょう。座面からフットレストまでの距離を、高齢者の膝下の長さに合わせます。高すぎても低すぎても、ズレ座りの原因となるので注意しましょう。

車椅子の上手な押し方

車椅子で移動するとき、乗っている人は思った以上に怖いもの。高齢者が安心して車椅子で移動できるようにするには、「スタート」「段差」「下り坂」の3つがポイントです。

スタートするときは、まず周囲の安全確認を。車椅子の真後ろに立ったら利用者に「それじゃあ○○さん、押しますよ、行きましょう」などと声かけし、両手でグリップを握ってゆっくり押し始めます。決して黙って押さないでくださいね。

街中を移動しているとそこかしこにある段差も、車椅子にとっては一大事。段差があったら「○○さん、これから段差を登りますね」「段差を降りますね」と声かけを。

登るときは前輪を上げて段差に乗せてから、後輪を段差の上に押し上げながら進みます。降りるときは後ろ向きに向きを変え、後輪を段にそわせながらゆっくり降ろしていきます。

注意したいのは下り坂のとき。なだらかな場合は良いのですが、急な下り坂だと車椅子に乗っている人が恐怖を感じることも。ジェットコースターの下りは、いっそう怖さが増すのと同じです。

そんなときは後ろ向きになり、介助者が下になって、適宜ブレーキをかけながらゆっくり進むようにしましょう。

ベッドなどから車椅子へ移乗するときのコツ


一部介助で移乗する場合は、車椅子をベッドと並行に置き、ブレーキをかけておくこと。ベッドにはL字型の介助バーを取り付けておくと、つかまって体を支えながら方向転換できるので便利です。

自力で立ち上がれない人でも、お尻を浮かせてずらすことができれば、全介助ではなく一部介助で移乗できるかもしれません。

やり方はまず、車椅子のアームレストを外すか上げるかして、ベッドの脇に付けてブレーキをかけます。ベッドの端に座った状態から、介助バーにつかまりながらお尻をずらして車椅子に移乗します。様子を見て、助けが必要そうなら介助します。

車椅子に移乗できたら、深く座り直すなど姿勢を直して移乗完了です。お尻の下に敷くと滑りを良くしてくれる、スライディングボードなどの介助用具を利用してもよいですね。

車椅子からベッドへ移乗するときは、この逆の流れで行います。

どの場合にも心がけたいことは、決してあせらないこと。移乗の前の安全確認、ベッドの端に座る、介助バーにつかまるといった、一つひとつのステップを丁寧に行いましょう。「これから車椅子に座るのをお手伝いしますね」「お尻をずらしていただけますか?」など、状況に合わせたこまめな声かけも大切です。

車椅子から車へ移乗するときのコツ

高齢者が出かける際には、車に乗ることも多いですね。車椅子から自動車に乗り込むときの手順とコツをご紹介します。

まずは安全な場所に車を停め、ドアを全開して車椅子をなるべく近くに付けましょう。ブレーキをかけてフットレストを上げ、足を地面に下ろしてもらいます。

高齢者に声かけをして、浅めに座り直してもらったら、車のアシストグリップにつかまりながら、お尻を上げて車の座席にお尻を乗せてもらいます。このとき頭をぶつけないように注意を。

最後に脚を車のなかに入れてもらったら移乗完了です。あせらず、高齢者の様子をよく見て、必要に応じてサポートするようにしましょう。

車椅子は第2の生活の場


自由に身体を動かすことができる私たちは、座っているときだけでも、仕事中には少し前屈みになって集中したり、リラックスするときはソファーに座って脚を投げ出したりと、さまざまな種類の椅子を使い分け、姿勢を変えています。

ところが身体が自由に動かせない高齢者にとっては、これ一台で移動したり活動したり、食事をしたり寛いだりと、いろいろこなさなくてはなりません。

車椅子は第2の生活の場ともいえる場所。車椅子で過ごすことが多い場合、ほんの少しの不具合が、その人のQOL(生活の質)を大きく下げてしまうこともあり得ます。

また、高齢者の状態は日々変化します。少し前までは大丈夫だったものが、今もその通りとは限りません。車椅子で過ごすことが多い高齢者の場合は、サイズが大きすぎないか、逆に窮屈そうではないか、仙骨座りになっていないかなど、いつも新鮮な目でチェックできると良いですね。

高齢者の方々が快適に車椅子を利用できれば、日常生活にもハリが出て、介護の負担も軽くなります。ぜひ車椅子を上手に使いこなしてくださいね。

【今日から役立つ!介護の基本】
1.上手な声かけ
2.ラクラク着替え介助
3.立ち上がりと起き上がり
4.トイレ問題の対処法
5.食べるを楽しむ食事介助
6.介護記録の上手な書き方
7.車椅子と移乗のコツ

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