介護事故の防止、高齢者の身体能力低下からと理解する

使えるハウツー


介護現場で起こる事故は、高齢者の体のバランスが悪くなったり、自由に動かせなくなったりすることが原因のひとつです。

私たちが高齢者の体の状態を実感するには、視界が狭くなってしまうゴーグルや、関節を動かしにくくするサポーター、さらに、合計3kgもの重りを手首と足首につけなければならないほど身体機能に差があることからも、それがいかに大きなものであることかが分かります。

利用者の安全を守ることは、介護職としての重要なスキル。このコラムでは、介護現場での事故を減らす対策の基本的なルールと、その背景にある理由を詳しくご説明します。

基本ルールを守りつつ、さらに理由を理解することで事故が起こる可能性にも気づき、防げるようになるでしょう。

事故の防止対策の基本ルールとその理由

高齢者は、筋力やバランス保持力、視力、嚥下力(えんげりょく)、認知力などが低下しています。これらの身体能力の低下による事故のなかで多いのは、転倒、転落、誤嚥、誤飲。

特に転倒・転落は、7~8割の介護施設で半年に1件以上起こったという報告があります

※参考:三菱総合研究所(2012)「介護施設における介護サービスに関連する事故防止体制の整備に関する調査研究事業報告書」p.87.

転倒事故の防止


基本ルール1.床に段差を作らない
ゴミや落とし物などをすぐに片付ける/電気コードなどを床に這わさない/靴ひもが緩んでいないか確認

◆理由 :「つまずく」を防止する
高齢者がつまずく一番の理由は、足の筋肉量の減少によるものです。20歳の足の筋肉量を100とすると80歳では男性69.1、女性71.5となり、男女とも3割前後も減っています※※

筋肉が減ると足の筋力も弱くなり、片方の足だけで自分の体重を支えられる時間は短くなります。加えて股関節も硬くなっているので、歩くとき、上げている方の足を少しだけしか上げられなくなります。つま先は床すれすれですから、電気コードはもちろん、小さなゴミや自分の履いている靴のひもを踏んだことで転倒につながるケースも少なくないのです。

また視力の低下や白内障などの目の病気で、落ちているものに気づけず、つまずくこともあります。

基本ルール2.浴室や食堂の床の水分をふき取り、濡れたままにしない

◆理由:「滑る」を防止する
筋力が低下すると体のバランスを保つ力も低下します。誰にとっても濡れた床は滑りやすいものですが、高齢者はとっさに近くにあるものをつかんで体勢を立て直すことができません。

基本ルール3.支えるものを管理する
手すりが必要な場所にあるか、使いやすい位置にあるか確認/いすやテーブルがグラグラしていないか確認

◆理由:「倒れる」を防止する
ふらついて、とっさに近くのものにつかまったときに、つかまったものがグラグラしていると、体のバランスを崩して転倒します。手すりや椅子など、利用者が実際につかまる様子を観察して、安定しているか、つかまりにくそうにしていないか、足りないところがないかをチェックしましょう。

※※参考:谷本ほか(2010)「日本人筋肉量の加齢による特徴」,『老年医学会』47(1),pp.52-57,老年医学会.

介護事故の防止、高齢者の身体能力低下からと理解する、後半は

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