介護職のための看取りの知識。不安を払拭して前向きに!

使えるハウツー

ベッドに横たわる高齢者
皆さんは、最期の時はどこで迎えたいと思いますか?昔の日本では、自宅で死を迎える人が大半でしたが、1970年代頃から急激に減り、死が近づくと医療機関へ入院して医療を受けるケースが増えました(※)。

現在も多くの人が病院で亡くなっていますが、実は最近その様子が変化しています。医療機関で死を迎える人が減少に転じ、対して老人ホームなどの介護施設で死を迎える人が、少しずつ増えているのです。

こうした変化のなか、介護職員が看取り介護を行うことも増えてきました。しかし、介護職が主とするのは「生活を支える」仕事。死を目前にした人にどのように寄り添えば良いのか、不安も大きいことでしょう。そこで、介護職として知っておきたい看取りの知識や、心構えについてお伝えしていきます。

厚生労働省統計(第5表 死亡の場所別にみた死亡数・構成割合の年次推移)より

介護施設における看取り介護とは

積み木の家
医師が「絶対回復する見込みがない状態と判断した時」ターミナル期(=終末期)が始まります。日々接している介護職員は、声が出ていない、食べられるものが減っている、眠っていることが多くなったといった変化から、別れの近さに気付くことも多いでしょう。医師の診断や体重の減少からターミナル期に入ったと判断すれば、ご家族に詳しく状況を説明し、今後のケアの方針を決めていきます。

ご本人やご家族から「看取りまでこちらの施設でお願いしたい」という希望があれば、施設で看取り介護を行っていくことになります。ただターミナル期のケアといっても、特別なことをするわけではありません。本人が一日いちにちを悔いのないよう、おいしいものを食べ、清潔に保ち、満足して過ごしてもらうことが目標です。

具体的に介護職ができることは、こまめに様子を見て声かけしたり、手足をさすること、スキンシップをとること。また、体の清潔を保つこと、好きな食べ物を少しずつ、時間がかかっても召し上がってもらうことなどを実践していきましょう。

一見何でもないことのように思えますが、病院に入院すると、こうした穏やかな時は過ごせません。ふだんの生活の先に安らかな臨終があり、それをまっとうした本人も家族も介護職も、「これで良かった」と納得することにつながります。

看取りの実際

ターミナル期には、血液循環が悪くなり手足など体の末端が冷たくなってくることがあります。ひどい場合は血管が詰まり、壊死して黒くなってくることもありますが、かえって悪化を招くこともあるので、切断などの積極的な治療処置は行われないのが通常です。様子を見て、手足をさするなどのケアを行いましょう。

いよいよ死が間近に迫ると、呼吸の様子が徐々に変わっていきます。肩で息をする状態から、「下顎呼吸」と呼ばれる下顎を大きく上げ下げする呼吸が現れると、そこから数時間~数日で亡くなることが多くなります。ただし、この過程は個人差が大きく、いつ亡くなるかを正確に予測するのは難しいとされています。このような状態が見られればご家族に連絡を行い、さらに注意深く見守ることが必要です。

息を引き取られたら、ご遺体をきれいに整える作業を行います。これは亡くなられてから3時間以内に看護師や介護職員で行うもので、エンゼルケアと呼ばれています。具体的には清拭や更衣、フェイスケアなどでご遺体をきれいに整え、蓄冷材などでクーリングを行うというもの。

エンゼルケアの経験がない人は、「遺体に触れるのが怖い」と不安に思うかもしれません。しかし実際には、ご遺体は知らない人ではなく、よく知っている方なので怖いことはありません。話しかけたり触れることにも抵抗はないはずです。また、生前のその方をよく知る介護職だからこそ、葬儀業者とは違い、その人らしい、自然で穏やかな表情に整えることができます。

最後に心を尽くしてご遺体を安らかな姿に整えることは、介護職としても「精一杯のことができた」「これで良かった」という安堵につながります。安心して取り組みましょう。

介護職が感じる看取りへの不安

不安そうな様子の女性介護スタッフ
「担当する方の、最期の時が近づいているようだ」・・・それを知ったとき、介護職として心が揺れ動いたり、不安を感じるのは当たり前です。それは、その方と「人と人としての関係」を築いている介護職だからこそ。

不安を感じたときこそ、その方との時間を大切にしましょう。「こんなステキなことがあった」「こんなことを言われて、心が温かくなった」など、その人を語るエピソードはできるだけ詳細に記録しておくことをおすすめします。亡くなったときに振り返ると、次の看取りケアの指針になったり、家族と共有すれば悲しみを癒やすグリーフケアにもなります。

反対に、亡くなったときに「あのときああすれば良かった」「がまんさせて申し訳なかった」などと後悔することのないように、心がけていきたいものです。

また別の不安として、「一人で夜勤中に何かあったら」という心配もよく聞かれます。看取りの経験を積んでいくうちに、「怖い」「不安」といった気持ちは少しずつ消えていきますが、経験の浅い介護職員が不安がるのはムリもありません。

何が起こるか分からないことが恐れにつながっている面もあるので、まずは死に際して体にどのような変化がおこるのか、先輩に聞いたり、研修に参加するなどして、できるだけ具体的な知識を持っておきましょう。また、ターミナル期対応の間だけでも、夜勤は複数で担当する人員配置が望ましいでしょう。

残り少ない時間を、輝きあるものに

笑顔の高齢者
ターミナル期の高齢者に、残された時間は多くはありません。「親しい人に会い、おいしいものを食べ、今日一日を精一杯生きて、ステキな思い出を作ってもらおう」という気持ちで接することが、目指すべき看取り介護です。

看取りは懸命に生きたひとつの命が、最期に行き着くところ。これから亡くなっていく姿に寄り添い、命のドラマに触れることは、介護職にとってかけがえのない経験です。不安を覚えるのもムリのないことではありますが、ぜひ前向きに取り組んでくださいね。

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