介護で役立つ、ご家族とのコミュニケーション方法

使えるハウツー

車椅子を押す介護職員と、そのご利用者様のご家族

「施設利用者様のご家族と、どうコミュニケーションをとればよいか分からない・・・」「クレームが多いご家族は苦手なので、できるだけ避けたい・・・」そんな悩みをかかえる介護職員は多いようです。
シチュエーション別の関わり方や、ご家族との信頼関係を築くメリットについてご紹介します。

介護職員の存在は、利用者様だけでなくご家族の心の支えでもある

頼りにできる女性職員

利用者様のご家族にとって、介護職員の存在感はかなり大きいことをご存知ですか。
なぜなら、「親の介護」という今まで経験したこともない深刻な課題に直面し、いちばん戸惑っているのはご家族の方たち。精神的ストレスやさまざまな問題をかかえておられます。

たとえば、
精神的な負担:
・本人にやさしく接したいのに、ついイライラしてしまう
・元気だった親が老いていくことへの悲しさ
・この先いつまで、介護が続くのか分からないことへの不安
・兄弟姉妹が手伝ってくれないことへの不満
・介護施設にあずける(=他人に任せる)という罪悪感
体力的・社会的な負担:
・介護による腰痛や睡眠不足など、体力的な負担
・自分の仕事を辞めたことによる、金銭的な問題や将来の不安
・社会とのつながりが少なくなっていく不安、など

上記のように複数の問題をかかえるご家族にとって、介護職員は難題を一緒に解決してくれる心強い存在であり、ときに心を寄せられる相手でもあるのです。

ご家族とコミュニケーションを取っておくことで、介護がスムーズに

同じく介護職の私たちにとっても、利用者様のご家族は心強い存在。ご家族から情報をできるだけ多くもらうことで、自分たちの仕事の助けともなります。

たとえば、
・毎朝のように「仕事に行く」と言い出す認知症の男性。ご家族から、当時の様子を教えてもらったことで、仕事上で起きたできごとなどに話をそらすキッカケをもらった。
・デイサービスのお迎え時に、「昨晩から咳が出ている」と教えてもらっていたので、その後の発熱時にもすぐに対応することができた。
・誤嚥がすすんで流動食にきりかえたが、食べてもらえない。そんなときにご家族から「かぼちゃのポタージュが好き」と教えてもらったので、味付けを工夫することで食べてもらうキッカケになった。

介護職員よりもずっと長い間つき合ってきたご家族だからこそ、分かることや気づけることは数多くあります。小さなことであっても、情報共有できる人間関係を築いておくことが大切なのです。

ご家族とのコミュニケーションで、気をつけるポイント(シチュエーション別)

ご利用者様のご家族よりお話を聞く介護職員

それでは、ご家族との連携や信頼関係を深めるために、どのようにコミュニケーションをとればよいのか考えてみましょう。

いつも心がけたい接遇マナー

・あいさつは自分から、目を合わせて
・笑顔で、明るい声のトーンで
・話を聞くときは、口角をあげて

簡単なことのようで、毎回行うのは意外にむずかしいことでもあります。しかしながら、信頼関係というのは小さなことの積み重ねで培われていくもの。すぐに仲良くなれなくても、いつも笑顔で接してくれる相手に好感をもたない人はいません。心の距離は徐々に縮まっていくはずです。

あいさつや報告時の思いやり

・ご家族にもご本人にも、敬語で話す
いざ介護や医療の現場でお世話される側になると、自分たちを弱い立場ととらえがち。気を使って言いたいことが言えなかったり、逆に強気にでて反発してみたりという方もいます。
そんなときに、役立ってくれるのが敬語。相手への尊敬をこめてていねいな言葉をえらぶことは、「あなたのことを大切に思っていますよ」というメッセージになります。

・相手が話しかけてきたら、会話をつなげる
たとえば、デイサービスの送り迎えのとき。「うちのお母さん、最近は施設でどうですか?」などと、いつもとは少し違う話がでたときは、会話にのってあげましょう。「今日もお元気そうで、お食事もよく召し上がりましたよ」「何か気になることがありますか?」と続けて聞いてあげることで、話がしやすい雰囲気をつくることができます。

・専門用語はつかわない
介護施設では当たり前でも、一般の人には分かりにくい言葉は使わないようにしましょう。褥瘡(じょくそう)や嚥下(えんげ)障害、アセスメント・・・、聞きなれない言葉で説明されるとご家族は混乱するとともに、意味がわからないままに話が進んでしまい、誤解を招く可能性もあります。

ご家族が疲れている様子のときは

・さり気なく、体調を気づかう声かけを
「少しお疲れがたまっていませんか?」「睡眠はとれていますか?」。
いつもの挨拶のあとにさらっと聞いてみて、相手が話したがらない場合はそっとしておきましょう。
「昨日はいろいろあって、眠れなくてね・・・」と続いたら、まずはお話を聞いてあげてください。自分の心のなかにしまっておくと重たい荷物も、誰かに聞いてもらえるだけで気持ちはずいぶんと軽くなるものです。

・利用者様ご本人についての明るい話題を提供する
あえて笑い話で気分を変えてもらうのも一つ。「この間、お母様の昔話で、施設のみんなが大笑いさせてもらったんですよ」。「小学生のころは、お父様とのキャッチボールが楽しかったそうですね」。元気いっぱいだった頃の利用者様の存在感や、楽しかった記憶などがよみがえることで、ご家族がまた前向きな気持ちで介護に取り組めるきっかけとなります。

・日ごろから本音で話せる関係づくりも大切
「ここだけの話だけど・・・」とグチをこぼせる相手がいることは、ご家族にとって何より心強いものです。
そんな本音トークをするときのポイントは、最終的には笑い話にして前向きな方向にまとめること。一緒になってご本人の悪口は言わないこと。身内の批判というのは、自分が言うのはよくても他人から言われると腹が立つものです。「そうですか。あまり気にならなったです」と軽くうけながす程度にしておきましょう。

うまく心を開いてくれないとき、クレームが多いときは

・要望や相談には、前向きな表現におきかえて
「〇〇はできません」と返すよりも「〇〇なら対応できます」と表現してみましょう。結果的に要望には応えられなかったとしても、前向きに考えてくれているんだ、という印象を相手に残すことができます。

・ときには、一緒に悩んであげる時間も大切
自分がだれかに相談したとき、「結論じゃなくて、ただ私の気持ちを分かってほしかったのに」と感じたことはありませんか?
もちろん、介護のプロとして明確なアドバイスは必要ですが、結論にいたる道のりを少し一緒に歩んであげる。相手の気持ちに共感してあげることも大切です。

・とりあえず、話を聞いてあげる
介護職の仕事は、時間がいくらあっても足りないもの。そのうえ、ご家族のケアまでと思ってしまいがちですが、上記でご紹介したようにご家族との連携がうまくできれば、結果的には介護職員にとってもメリットは大きいはず。ときにはゆっくりと腰を落ち着けて、話をする時間をつくりましょう。

言葉は大切。でも、心はもっと大切

ハートを差し伸べる様子

家族介護で五大負担といわれる、肉体的負担、精神的負担、時間的拘束、金銭的負担、情報の不足。そのなかでも、もっとも重いのが精神的負担だと言われています。その割合は、要介護者有の67.4%に対して介護従事者は77.0%と上昇し、とくに女性の介護従事者になると81.0%が精神的負担を感じています(2012年2月、博報堂エルダーナレッジ開発 新しい大人文化研究所の調査結果より)。

そのような状況のなか、接し方や言葉づかいに気を使うべきですが、とはいえ、コミュニケーションは相手があることですから、いつも上手くいくとは限りません。ベテランの介護職であっても、上手く話せないときもあります。
それでも大切なのは、できるだけご家族の立場に立って考えること。そして、ご家族の気持ちをどれだけ理解してあげられるかが大切だと思います。

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