介護の現場で使える、高齢者との会話がはずむことわざ集

使えるハウツー

微笑み合う高齢者と介護スタッフ
介護の仕事をしている方なら、日々、高齢者とのコミュニケーションの大切さを実感されていることでしょう。言葉かけのひとつで心の距離がぐっと縮まって、信頼関係を築くこともあるほど、会話は大切なコミュニケーションツールです。なにより、会話がはずめばあなたも仕事がいっそう楽しくなるはず。

でも、介護の現場からは、「気の利いた言葉がとっさに思い浮かばない」「なかなか会話が続かない」といったお悩みの声も。ご自身よりひとまわりもふたまわりも年の離れた方とのコミュニケーションですから、うまくいかないことがあって当たり前なのですが・・・。

そんなときにオススメしたいのが、「ことわざ」を盛り込む会話術です。ことわざをひとつはさむだけでスパイスの効いた知的な会話になりますし、笑いや共感も得られるため、世代間ギャップが埋まりやすくなります。

このコラムでは、会話で使える「ことわざトーク集」をご紹介していきましょう。

弘法にも筆のあやまり

書の大家である弘法大師にも書き損じはある、つまり「その道にすぐれている人でも、時には失敗することがある」という意味です。

事例:
高齢者「今朝ね、服をうらおもて反対に着てしまっていたの」
介護士「あら、弘法も筆のあやまりですね。いつもおしゃれな○○さんが間違えるなんて」
高齢者「おだてたって何も出ないわよ(笑)」

高齢者を弘法大師という優れた人物になぞらえることで、相手を立てつつ、失敗を笑いに変えることができます。

注意点:
いつも失敗していることに使うと、皮肉や嫌味に聞こえてしまうことも。たまたま失敗した人を励ますときに使いましょう。また、似たようなことわざに「猿も木から落ちる」がありますが、これは仲間や目下の人に対して使うことわざ。「弘法にも筆のあやまり」のほうが、相手への尊敬の意味が込められているので高齢者に適しています。

栴檀(せんだん)は双葉(ふたば)より芳(かんば)し

孫を肩車するおじいちゃん
白檀(びゃくだん)は双葉のころからかぐわしい香りがすることから、「大成する人は幼いころからすぐれた素質をもっている」という意味です。

事例:
高齢者「これね、孫が保育園で描いてくれた絵なの」
介護士「まあ、上手。栴檀は双葉より芳しっていいますから、将来が楽しみですね」
高齢者「あなたもそう思う?楽しみなものね。孫の成長って」

「上手」というありきたりな言葉で終わるよりも、会話の奥行きがいっそう深まります。絵が上手というだけでなく、大きくなってから活躍するお孫さんのことも想像できることわざです。うれしい気持ちになってもらいましょう。

注意点:
「大器晩成」という言葉もありますが、これは「偉大な人物ほど若いうちは目立たず、遅れて大成する」という意味。「栴檀は双葉より芳し」とは真逆なので、混同しないようにしましょう。

勝って兜(かぶと)の緒を締めよ

戦いに勝ち、兜をゆるめた時に敵が襲ってくるかもしれないことから、「勝った時こそ、油断せず気を引き締めておかなければいけない」という意味のことわざです。

事例:
(レクリエーションで)
高齢者「またこっちのチームが勝った!向こうは弱いなあ」
介護士「○○さん、勝って兜の緒を締めよ、ですよ」
高齢者「そうだな。じゃ、もういっちょ、行くか!」

レクリエーションの時間は楽しいものですが、勝負が決まるような内容の場合、負けた相手はプライドが傷ついてしまうことがあります。それが簡単なゲームであればなおさら。
事例のように、相手を不愉快な気持ちにしかねない発言にも、ことわざで返すことで、勝った側の喜びに水をさすことなく、負けた側の気持ちにも配慮できます。

注意点:
勝って喜ぶ気持ちも尊重してあげたいものです。注意するような厳しい言い方ではなく、明るく、次のゲームに誘いながら声をかけましょう。

旅は道連れ世は情け

「旅をするときは道連れがいるほうが心強いように、世の中を渡るにも互いに思いやりをもつことが大切」という意味のことわざです。

事例:
介護士「食事の前にトイレに行っておきましょうか」
高齢者「私はいいわ」
介護士「旅は道連れ世は情け。一緒に行きましょうよ!」
高齢者「そう言うなら・・・」

トイレになかなか行きたがらない方へ、冗談を交えてトイレに誘うことができることわざです。「お互いさま」の意味合いが強いので、介助する側、される側、という関係ではなく、同じ目線で「一緒に」と声かけをしましょう。高齢者の尊厳を傷つけず、相手に安心感が生まれます。

注意点:
本来のことわざの使い方とは少しずれてしまいますが、気にすることはありません。高齢者が排せつの問題を深刻に悩んでしまわないように、明るく軽い雰囲気で会話に取り入れてみましょう。

竹馬(ちくば)の友

笑顔でこちらを向く高齢者
幼い頃に竹馬にのって遊んだ友だち、つまり幼なじみのことを指します。昔は「良きライバル」という意味でも使われていました。

事例:
高齢者「○○さんとは、子どもの頃から競い合ってきたっけ」
介護士「竹馬の友ですね」
高齢者「そうなんだよ。本当に、いい友だちなんだ」

「竹馬の友」は、単なる友だちという枠をこえて、幼い頃から競い合いながらともに成長してきたかけがえのない存在を指します。子ども時代に夕暮れまで一緒に遊んだことや、競い合って負けて悔しかったこと、勝って相手を励ましたことなど、人生の一コマを思い起こさせる非常に良いことわざです。

注意点:
もともとは、力関係で下にあたる人に対して使われていたことわざですが、現代ではそのような意味合いで使われることはありません。幼い頃から友好関係のある人になら、気にせず使いましょう。 

縁の下の力持ち

誰も見ていないところで人のために努力する、影の功労者を指します。

事例
高齢者「高校生のときは、演劇部で裏方をやっていたのよ」
介護士「縁の下の力持ちだったんですね」
高齢者「大変な仕事だったけど、楽しかったなあ」

表舞台で脚光を浴びるわけではないけれど、その裏で役者を支える大切な役割を担う人を称賛する意味合いがあります。学生時代や現役で働いていたころの会話をしているときに使うと良いでしょう。

注意点:
相手を褒めるニュアンスがあることわざですが、しかたなく裏方に回っている場合には「やりたくてやってるんじゃない」と不愉快な気持ちにさせてしまうかもしれません。相手の失礼にあたらないように、人のために「喜んで」裏方の仕事をしていた場合に使いましょう。

考えすぎず、まずは使ってみることもたいせつ

高齢者と介護スタッフが握手をしている様子
ふだん使い慣れていないことわざだと、本来の意味からずれた使い方をしてしまうかもしれません。でも、そんな失敗もご愛敬。大切なのは、会話のなかに楽しい気持ちや笑顔が生まれることです。「その使い方は違うよ」と指摘をされても、それをきっかけに会話は広がります。

高齢者も若い人に頼られるのはうれしいもの。「他にどんなことわざがありますか?」と聞いてみるのもよいでしょう。失敗を恐れず、どんどん使ってみましょう。

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