介護職の共感疲労。利用者への強すぎる思いがリスクにも

介護職の保健室


介護職として後輩もできて、利用者からも信頼してもらえるようになってきた、専門職としての自信もついてきた、そんなときに、これまでにない疲労感を覚える人がいます。

「ここのところ眠れない、なんだかイライラする」ことがあれば、ちょっと気をつけてください。長く続くと「共感疲労」と呼ばれる状態になり、心が折れてしまうことにつながるのです。

共感疲労は、介護や看護など人の心に寄り添う仕事で起こりやすい心の現象です。このコラムでは共感疲労と一般の疲労との違いや、介護職がなりやすい理由を解説します。

あなたの心が共感疲労に向かっていないか、早めにチェックしておきましょう。今感じている疲れが深刻なものでなければ、ひと安心。ただ、もしも症状に心あたりが少しでもあれば、「介護職の共感疲労は、ON/OFFの切り替えから」を参考にしてくださいね。

あなたの疲れ、共感疲労では?共感疲労の症状


共感疲労という言葉がよく使われるようになったのは、医療や災害の現場です。看護職や災害ボランティアなど支援する立場の人が、患者や被災者の気持ちに共感しすぎて心が疲れ切ってしまう状態で、なかには仕事を続けられなくなってしまう人もいます。

人の痛みを自分の痛みとして感じられる人ほど、なりやすいといわれており、介護職も利用者への共感が基本ですから、同じように共感疲労になることがあります。

不眠や憂鬱な気分など、これまでとは違う感覚があれば、共感疲労の可能性のチェックをしてみましょう。人によって症状の現れ方は違いますが、一般的な疲労との違いはおもに次の6つ、1~4までは初期段階ですが、進行すると5、6になるおそれがあります。

  1. 利用者のことを考えてしまい、よく眠れないことがある
  2. 仕事に価値を感じられないときや無力さを感じることがある 
  3. 周囲の人から孤立していると感じる
  4. ささいなことにイライラしたり、以前より怒りっぽくなった
  5. 感動することがなくなってきた
  6. 利用者に関心が持てなくなった

上の項目に少しでも思い当ることがあれば、まず共感疲労について知っておくことから始めましょう。

介護職が共感疲労になりやすい理由

介護職は「感情労働」

肉体労働、頭脳労働、という言葉はよく耳にしますが、サービス業や接客業など、お客様の気持ちをくみ取り、要望に笑顔で応えていく仕事は「感情労働」といわれています。

介護職は、利用者と長期的にかかわり、身体に直接触れ、会話や笑顔、触れ方まで、すべてがケアでありサービスです。利用者に好ましい感情を持たなければできない仕事ですから、介護職も感情労働なのです。

自分の感情を抑えすぎると共感疲労の引き金に

介護職は多くの場面で感情をコントロールしています。たとえ忙しくて気持ちに余裕がなくても、利用者を前にすれば切り替えて、笑顔で対応しますよね。

たとえば、利用者がなかなか入浴してくれないとき。すぐに入浴してほしいという自分の感情はあっても、利用者がよいケアを受けられるようにするのが役割ですから、「どうしましたか、何か不安なことでもありますか?」と利用者の気持ちを知ろうとします。もちろん、利用者が安心して本当の気持ちを伝えてくれるように、笑顔で。

自分の感情を抑えていると、ストレスがたまることもあります。加えて、まじめに取り組んでいる人ほど「投げ出してはいけない」という気持ちが強く、無理に気持ちを抑え続けてしまいがちです。

長い間にわたって自分の感情を抑えて仕事を優先していくと、もともとの「自分自身」がその中に吸い込まれて、自分でもだんだん区別がつかなくなっていくケースがあります。

そのようなときに、利用者にケアを拒絶されるなど、仕事でうまくいかないことがあると、「利用者に嫌われてしまった」と自分が否定されたように傷ついてしまいます。また、ふたたび拒絶されるのが怖いと感じるようになります。

そうすると、自分を守ろうとする心のメカニズムが働きます。自分が傷つかないように、無意識のうちに心にバリアを張って、どんな言葉を投げかけられても感情が反応しないようにするのです。怖さは感じなくなりますが、同時にうれしさや悲しさまでもが感じられなくなってしまいます。

これが共感疲労の症状の5番目、「感動することがなくなってきた」状態です。

介護職の共感疲労。利用者への強すぎる思いがリスクにも、後半は

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