高齢者がしみじみと幸せを感じる、4つのシーンとは

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しみじみと幸せを感じる様子の老夫婦

「人が高齢になったとき、どんなことに幸せを感じるようになるのだろう」そんな疑問を持っているあなたは、日々高齢者を介護しているか、高齢な方と接する機会が多いかもしれませんね。もしくは、これから自分が年齢を重ねていくことに不安があり、準備をしておきたいという人もいるでしょう。

私たちはVRゴーグルや重りをつけて高齢者疑似体験をすることはできても、いますぐに高齢者になることはできません。心の底から「ああ、こういうことだったんだ」と納得することができるのは、実際に自分が年老いて同じ立場になったとき。そのときやっと、「あのときは他人事のように考えていたなあ」と痛感することも多いでしょう。しかし完全には分からなくても、分かろうとする努力は必ず何かの役に立ちます。今回は高齢者が幸せを感じる4つのシーンをご紹介します。想像力を働かせながら読んでみてください。

幸せのかたちは、年代によって変化していく

20代までは、自分自身が成長していくことに喜びを感じる人も多いでしょう。30代、40代になると、家族や仲間など自分にとって大切な人が増えるなかで、自分以外の存在を守り育てることに生きがいや幸せを感じる人が増えてきます。

50代、60代を迎えて子育てや仕事をリタイアすると、今まで生きがいとしてがんばってきたことを手放すことになります。寂しさはありますが自由な時間も増え、ゆっくりと自分に向き合うことができる時期といえるでしょう。これまでに積みあげた経験や培ったものをたずさえて、第二の人生として田舎に引っ越したり、夫婦で同じ趣味を楽しむなど、やりたかったことにチャレンジして幸せを感じることができます。

そうした時期を過ぎ老年期に入ると、やがてくる人生の終わりについて考えるようになります。きっかけは周囲の親しい人が亡くなったり、持病の悪化や病気の後遺症など、体の不調が多くなることもあります。人生を振り返り、締めくくる時期に入りますが、この段階ならではの幸せもあります。さっそく以下で掘り下げて見てみましょう。

(1)関係の深い人とのあたたかな関わり

家族親戚一同で集まり、記念撮影

家族や親しい友人など、今までの人生で深めてきた人間関係は、高齢者にとって大切な宝物です。そんな人たちの笑顔を見れば何よりうれしく、幸せを感じられるもの。自分の人生は良いものだったと、かみしめることができる瞬間です。

高齢者のなかには、「あの人に会って謝りたい」「わが子に十分なことをしてあげられなかった」など、人間関係に心残りを抱えている人もいるでしょう。こうした思いを持っていることに気付いたら、当事者に連絡をとったり、こちらから会いに出かけるなど、前向きな行動を開始してみることをおすすめします。

「謝って、長年のわだかまりが解けた」「子どもと関係が改善して、毎日が幸せになった」・・・大切な人と良好な関係を築き、穏やかに日々を過ごすことができれば、高齢者の幸福度はきっと高まるはずです。

(2)「ありがとう」と言われること

2019年に発表された朝日大学の研究(※)では、「自分の得意なことを他人に教える活動」を行っている高齢者は幸福度が高い、という結果が出ました。このような活動をしていると、「すごいですね」「ありがとう、勉強になりました」などと周囲から認められ、喜んでもらったり、感謝される機会が多くなることでしょう。

とくに誰かの手助けがないと生活できない高齢者は、「当然できるはずのことができない」という無力感や喪失感、「自分が情けない」という感覚を持ってしまいがちです。このように自己肯定感が低い状態では、日々の暮らしにも幸せを感じにくくなってしまいます。しかし、特技などで人から尊敬され感謝されれば、自己肯定感が高まり、幸せを感じることができるのです。

同じ理由で、社会貢献をすることも高齢者の幸せに役立ちます。地域のボランティア活動に参加したり、老人ホームのレクリエーションでも、作品を寄付するなど社会貢献型を取り入れるのも良いでしょう。感謝されると、自分自身に価値があると思えるもの。そういったことに積極的に取り組んでいくのは、自己肯定感を高めるとても効果的な方法です。

※特技を教える高齢者は幸福感が高い ~約2,600人のデータ分析から~
https://www.jages.net/pressroom/?action=cabinet_action_main_download&block_id=2652&room_id=919&cabinet_id=174&file_id=3803&upload_id=5583

(3)介護予防に取り組み、前向きに努力すること

ジョギングを楽しむ老夫婦

これまでに多くの経験を積み、自分のスタイルを作り上げてきた高齢者にとっては、自分のことを自分で決められないのはつらいものです。自分の好みや習慣を大切にしたり、出かけたいときに出かけたり・・・。「誰の世話にもならず、自立して生活できること」は高齢者にとって、幸せの土台となるものです。この土台があれば、若いときより成長し円熟した精神で、心豊かに生きることもできるはず。

そのためには、自立して生活できるだけの健康状態が必要です。ウォーキングなどの体力づくりや、筋トレ、認知症予防の脳トレなど、何かしらの介護予防につながる活動は、高齢者にとっては明るい未来につながるもの。トレーニングをがんばって効果を実感できたら、その喜びでもっとがんばろうという気持ちもわいてきます。

「体力が衰えるのに任せた暮らし」は、なかなか幸せを感じにくいもの。自分のがんばりが介護予防になり、その先に自立した生活があるという前向きな考えは、高齢者の幸福度をアップしてくれます。

(4)おいしく食べること

健康長寿な高齢者にその秘訣を聞くと、決まって出てくるのが食べ物のお話。お肉が好物だという人、お魚が好きな人、野菜をよく食べるという人・・・いろいろな人がおられますが、みなさんに共通するのは、食べることを楽しんでいる、ということ。

好物を味わって食べるとき、人は誰でも幸せを感じています。「おいしい」ことは、純粋にそれだけで大きな楽しみです。ところが口から食べ物を摂取することができなくなってしまうと、味を感じることができず、生きる楽しみがぐんと減ってしまいます。

お口の状態が良ければ、食べることを楽しめるだけでなく、栄養状態が良くなったり、誤嚥性肺炎などのリスクが下がる、会話がしやすくなるなど、うれしい副産物もあります。いつまでも食べる喜びを感じるためには、口の中や喉のケアをしっかりしていくことが大切です。

口腔ケアを嫌がる高齢者もいますが、清潔になれば気持ちが良いもの。鏡でキレイになったところを確認してもらうなどすると、協力してくれることもあります。ぜひいつまでも健康なお口で気持ちよく、おいしく食べられる幸せを感じてもらいたいですね。

自分らしく生きることが、幸せにつながる

笑顔で趣味活動を楽しむ様子の老夫婦

「延命治療はしないでくれ」ふだんから家族にそう言っている人、言われている人は多いのではないでしょうか。機械につながれた状態で生き続けたいと思う人は多くないかもしれません。最期まで「自分らしく」生きることで、人は幸せを感じられるのです。

「自分らしく」のカタチは、人の数だけありますが、共通項がひとつあります。それは、だれかに押しつけられたり、強制されるものではないこと。このほうが体にいいからといっても、本人の思いに反した押しつけになってしまっては、高齢者は幸せを感じることはできません。

高齢者の介護をしている人は、「その人らしさ」が何なのか、寄り添うなかで感じ、一緒に考えてあげてください。その人の目の輝きや笑顔のなかに、きっとヒントが隠されています。
高齢者それぞれの幸せのかたちに思いを巡らせながら、いっしょに時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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