認知症ケア専門士の資格を介護士が取得するメリット

資格・制度


平成28(2016)年10月1 日現在、日本では全人口のうち27%以上が65歳を超えている”超高齢化社会”を迎えており、その影響もあってか、介護現場では認知症を持つ利用者と接する機会が増加しています。

認知症ケアの専門知識を有する人材の需要も高まりつつあり、認知症に関する資格の中で最もメジャーである「認知症ケア専門士」の資格は、介護士を中心に毎年約5,000~11,000人が受験しています。

ここでは認知症ケア専門士の資格を、介護士が取得するメリットについて解説します。

認知症ケア専門士とは?

認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会認定の民間資格です。

認知症ケアに対する優れた学識と認知症ケア技術の向上、高度の技能と合わせて倫理観を備えた専門技術士を養成すること、保険福祉への貢献を目的としています。

2005年に第1回認知症ケア専門士の試験が実施されて以降、毎年実施されています。受験者のうち最も多いのが介護福祉士で、次いで介護支援専門員、ヘルパーの順になっています。

認知症ケア専門士は、比較的新しく出来た資格ではありますが、高齢者と接する機会が多い介護職の方から、多く注目を集めているのです。

介護士が認知症ケア専門士の資格を取得するメリット

介護士は日頃多くの利用者と接しますが、その中には認知症の方もいらっしゃいます。そして、ひと口に認知症と言っても、発症の原因によって、認知障害の特徴が違います。

認知症ケア専門士の資格の取得は、単純に認知症の方とコミュニケーションの向上を図るためだけではなく、認知障害の特徴を知るためにもあります。

まだ経験や知識の浅い介護士が「認知症の方と接するのは不安」という悩みを抱えていることは、決して少なくありません。しかし、介護士自身が不安を隠せないまま認知症の利用者と接してしまうと、利用者にも不安が伝染し、余計にコミュニケーションを取りづらくなるという事態が起こりかねません。

認知症ケア専門士の資格の勉強などで、認知症に関する深い知識を得て自信をつけることで、実際に認知症を患う利用者とも、接しやすくなります。利用者やそのご家族も、安心してくれるでしょう。

実際の介護の現場で、認知症ケア専門士の資格はどう役に立つのか

ここでは更に具体的に、認知症ケア専門士の資格が介護の現場でどのように役に立つのか、説明していきます。認知症ケア専門士の資格を取得する主なメリット・強みは以下の3点です。

  • 認知症ケアの知識に基づいた介護・介助ができる
  • 上記から、一人ひとりの認知症の症状に合わせた介護ができる
  • 日常生活やレクリエーションの場面を通じ、機能訓練を取り入れることができる

上記を踏まえて、例を挙げてみましょう。例えば、記憶障害がある認知症の利用者のケアでは、

  1. 相手のスピードに話すスピードを合わせているか
  2. 話す時に、1度に長い文章や情報を与えてないか
  3. 1度伝えたら「伝えた」と安心していないか
  4. 話を聞くだけでなく、目で見て変化に気付く工夫をしているか

などの配慮が必要です。こうした知識は、介護士が自ら”認知症ケアに関する知識を身につけよう”と動かないと、得られる機会は少ないです。

認知症ケア専門士の資格の勉強などで、こうした知識を身につけていれば、

  • ゆっくり話してあげよう
  • 1つずつ言ってあげよう
  • さっきも言ったけど、念のためもう1回伝えよう
  • 書いてあれば思い出せる人なので、メモ書きを置いてあげよう

など、様々な工夫の方法が見つかります。

認知症ケアに関する知識は、チーム内で共有したり、新人の指導に活用したりすることもあるので、自然とリーダー的な役割を担う場面が増えてくるとも考えられます。

サービス提供責任者など、介護業界でキャリアアップを目指されている方なら、取っておいて損はない資格と言えます。

認知症ケア専門士の受験資格と試験の流れ

ここでは、認知症ケア専門士の受験資格と、受験の流れをご説明します。

※以下は、2018年1月10日現在 の情報です。

認知症ケア専門士の受験資格

認知症ケア専門士の受験には、認知症ケアに関する施設・団体・機関において3年以上の認知症ケアの実務経験が必要です。

対象は認知症ケア専門の施設等である必要はなく、認知症ケアに携わってさえいれば「通常の通所型介護施設の実務経験3年」でも構わないということです。

ただし、ボランティア経験などは実務経験に含まれません。

上記以外の資格は必要ありませんので、実質無資格で受けられる資格と言えます。

認知症ケア専門士の試験の流れ ~一次試験~

認知症ケア専門士の試験は、一次試験、続いて二次試験の流れで行います。

「認知症ケア標準テキスト」に準じた内容で、

  1. 認知症ケアの基礎
  2. 認知症ケアの実際Ⅰ:総論
  3. 認知症ケアの実際Ⅱ:各論
  4. 認知症ケアにおける社会資源

上記各分野から50問ずつ、合計200問の問題が、五者択一のマーク式で出題されます。

各分野全てで、70%以上の正答率を満たしていると、晴れて認知症ケア専門士の一次試験合格です。

認知症ケア専門士の試験の流れ ~二次試験~

認知症ケア専門士の一次試験に合格したら、二次試験に進みます。

出題された事例問題に対する論述と、当日発表されるテーマに沿って6人を1グループとしたスピーチ・ディスカッションの面接を行うことが、試験の内容です。

  • 適切なアセスメントの視点を有しているか
  • 認知症を理解しているか
  • 適切な介護計画を立てられるか
  • 制度及び社会資源を理解しているか
  • 認知症の人の倫理的課題を理解しているか

論述や面接が総合的に評価され、上記5つのポイントを満たしていると判断された場合、認知症ケア専門士の二次試験に合格できます。

認知症ケア専門士の資格の勉強方法

先述したように、認知症ケア専門士の一次試験・二次試験の内容は全く異なるので、当然勉強方法も変わります。

しっかり準備を整えましょう!

一次試験の筆記問題の対策

地道ですが、テキストの問題集や過去問を繰り返し解きましょう。

テキストを隅から隅まで読んで理解するのもよいですが、時間がかかります。

問題集や過去問を中心に進めて、わからない分野はテキストを読んで補うのが効率的です。独学でも十分対応できます。

二次試験の面接の対策

試験のテーマは当日発表ですが、どんなテーマがきても対応しやすいように、様々なテーマで小論文やレジュメを繰り返し作成しましょう。

スピーチやディスカッションでは、正解を答えるというより、自分ならどう考えどう行動するか、自分の言葉でしっかり主張することが大事です。

小論文やレジュメを繰り返し作成する過程で、自分の考えを簡潔にまとめられる力をつけてゆきましょう。

リーダーシップを取れる介護士を目指すなら認知症ケア専門士の資格がオススメ!

認知症ケア専門士の資格は、これからの日本の介護現場で活躍することが見込まれている資格です。

資格を取得した地点でゴールではなく、資格取得を通じて得られた認知症ケアに関する知識が、日々の介護現場で十分に活用できる点がポイントです。また、認知症以外の方との関わりにも、活きてくるのではないかと考えられます。

「いつかは職場のリーダーの役割を担っていきたい」と考えられている介護士のみなさんは、介護現場で活用できる資格として、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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