暴力・暴言は切実なSOS!?ベテラン介護士の対応法とは

介護の仕事


介護職が直面する深刻な悩みのひとつ、利用者の暴力・暴言。

食事や入浴をしてもらいたいだけなのに、大きな声を出されたり激しく抵抗されたりすると、いくら仕事とはいえ、心身ともに大きなダメージを受けてしまいます。

ところがベテラン介護士たちによると、一見ただの暴力や暴言にしか思えない行為にも、お年寄りの切実なメッセージが込められていると言うのです。

介護する側もされる側も、みんなが安心して穏やかに過ごせるよう、お年寄りの本当の想いに気づくテクニックを学んでいきましょう。

介護に激しく抵抗されてしまう・・・どう対応すればいいの?


要介護度が高く、意思疎通も難しいAさんの場合。

特に食事や入浴を嫌がり、介護士の腕に爪を立てて引っ掻いたりつねったりと、激しく抵抗しています。介護士は腕も心も傷だらけ。

Aさん自身も辛いこの状況、なんとか双方の負担を軽くする方法はないのでしょうか。

こんなときのベテラン介護士さんの対応法、それは「観察、共有、試行の3ステップ」だと言います。

《ステップ1:観察》
どんなときにAさんが抵抗してしまうのか、前後の状況をよく観察します。

《ステップ2:共有》
介護職員をはじめ、関わる人がみんなで共有し、傾向や対策について話し合います。

《ステップ3:試行》
出た対策案を試してみて、どんな反応があるかを観察します。ステップ1に戻ります。

この3ステップをぐるぐる繰り返すことで、どんな状況で抵抗が出ているのか、逆にどんな状況なら大丈夫なのかが見えてきます。すると、Aさんが食事や入浴の際に心に抱えていた辛さや恐怖、不満に気付けるようになります。それを見つけて改善への道を探ることが、暴力や暴言といった問題行動への基本的な対処法になります。

問題行動の原因は、こんなところに隠れている


どんなときに問題行動が起こるのか、まずはじっくり観察するところから始めましょう。

たとえば食事介助なら、お腹が空いていないのに、無理に食べさせようとしていませんか?山盛りにしたスプーンを次々と口元に押し付けていませんか?

もちろん食べることは大切なこと。なんとか食べさせたいという施設の方針やご家族の要望もあるでしょう。ただし無理強いすると、逆効果になることも。

高齢になると、味覚が衰えたり、飲み込む力が衰えたりして、若いときと同じようには食べられません。それをこちらの感覚でどんどん口に運んでしまうと、利用者にとっては食事がただつらいだけの時間になってしまいます。

また、声かけの仕方もとても大切。高齢になると認知機能が低下するうえ、高音が聞き取りにくくなるため、大きな声で話しかけても声が高くて聞きとれない、または理解できていないことがあります。

たとえば「お湯をかけますよ」と言ってからかけたのに、聞こえていない利用者からすると「突然熱いお湯をかけられた!」と受け取られてしまうこともあるのです。

高齢になると脳の老化によって短期的な記憶は忘れやすくなるのですが、「感情」はしっかりと心に刻まれます。これは認知症であっても同じです。

ムリに口に押し込まれた、突然熱いお湯をかけられたなど、一度でも嫌な思いをするとそれがトラウマになり、次からそのスタッフの介護を拒否して激しく抵抗したり、そうでなくてもイライラして落ち着かなくなったりすることにつながります。

手早く済ませることもテクニック

たとえば問題行動の原因が幼少期のトラウマなどにある場合は、なかなか取り除くのは難しいかもしれません。また、いろいろと試行錯誤をしても原因がつかめない場合もあるでしょう。

そんなときには手早くケアを済ませることもテクニックのひとつだと、ベテラン介護士さんは言います。 嫌なことは短い時間で終わらせてあげると、本人が感じるストレスを少なくすることができるからです。

入浴介助などはケアにあたる職員数を増やして対応するのも良いでしょう。食事量が十分とれないときには、一時的にドリンクタイプの高栄養食品などを取り入れてみるのも良いかもしれません。

ステップ2の「共有」で複数の職員や関係者がみんなでアイデアを出し合うことで、多方面から問題にアプローチすることができます。

利用者の暴言や暴力は、我慢するしかないの?

利用者の権利を守ることも大切ですが、もちろん介護士自身の身の安全はそれに優先すべき。

言われた内容や、叩かれた、蹴られた、引っかかれたといった事実は事実として、きちんと記録に残しておきましょう。

その行為が出た前後の状況も含めて、詳しく介護記録に残っていれば、それらを手がかりに原因を探り、対応法を考えることもできます。

また、他の職員なら大丈夫という場合は、上司に相談していったん担当を変えてもらうのも良いでしょう。少し距離をおいて、問題行動が出てしまう原因をじっくり探っていくのも一案です。

いずれにせよ自分の身の安全を軽視せず、我慢しすぎないでくださいね。

問題行動の裏に隠された、本当の気持ちを探る


お年寄りたちは、わけもなく暴れているのではありません。また、いじわるな性格だから、乱暴な性格だから、問題行動を起こしているわけでもありません。

つらい思いをして傷ついたことを、言葉で表現できないけれど、なんとか分かってもらいたい・・・一見たちの悪い暴力や暴言に見える行為も、お年寄りにとってはどうにかして自分の身を守るために発する、SOSの表現であることが多いのです。

そう考えると、少し心に余裕をもって対応できるようになるかもしれませんね。

なぜ介護に抵抗するのか、その理由に気づいて取り除き、安心して生活してもらうのも介護士の仕事。

ただの暴力と決めつけず、行動の裏に隠された心理に気づいてあげられたら、介護士としてもう一段、大きな成長ができるのではないでしょうか。

もちろん簡単なことではありませんが、試してみようと思えるヒントが、このなかに幾つかでもあれば幸いです。

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