介護技術を高めるチェックリスト。新人研修にも活用を

介護の仕事

チェックリストシート

介護職が身につけるべき介護技術というと、体位変換や食事、排せつ、入浴介助などがすぐに思い浮かびます。でもそれだけではありません。同じくらい重要なのが、利用者様への接し方やご家族とのやりとり、職員間の連携などコミュニケーションスキルです。

どちらも介護職にとって欠かせない専門技術です。これらをバランスよく高めていくためには、行き当たりばったりでは難しいもの。まずは現場で必要となる介護技術を洗い出し、「何ができて、何ができないか」把握するところから始めましょう。

新人指導を担う介護リーダーも、どこから手をつけていいかわからない新人介護職員も、ぜひご参考に。チェックリストがチェックで埋まる頃には、介護技術のレベルアップを実感することができるでしょう。

身につけるべき介護技術リスト

移乗介助をおこなう女性ヘルパー

介護職に必要とされる介護技術にはどんなものがあるか、まずは分類してリスト化してみましょう。

【介護職が身につけるべき介護技術リスト】

A.職業倫理と接遇スキル

B.身体介護技術
 (1)体位変換、移動、移乗、車椅子の操作
 (2)食事、排せつ、入浴、着替えの介助

C.コミュニケーション技術
 (1)職員間のコミュニケーション
 (2)ご家族とのコミュニケーション

D.認知症の知識と対応法

E.リスクマネジメントの技術

F.レクリエーションの技術

G.ターミナルケアの方法

H.その他
介護記録をつけるスキル、掃除、シーツ交換等のスキルなど

できる・できないチェックリスト

悩む様子の女性

一つひとつについて基本技術とステップアップ編を見ていきます。指導者は定期的に新人介護職員と面談して、できる項目にチェックを入れ、できない項目については重点的に指導するとよいでしょう。

できる・できないのチェックは線引きが難しいので、一度のチェックでできたと判断せず、何度か見直しを。ある程度の時間をかけ、それぞれの項目をしっかりマスターしていきましょう。

A.職業倫理と接遇スキル

基本
□ 利用者様の尊厳を守り、ご本人の意思を尊重することの大切さを理解している
□ あいさつ、マナーを守った言葉遣い、身だしなみがきちんとできている
□ 利用者様に対し、明るく笑顔で接することができる
□ QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)について理解している

ステップアップ
□ 褒める、感謝するなど、利用者様の意欲を引き出す関わり方ができる

B.身体介護技術

(1)体位変換、移動、移乗、車椅子の操作
基本
□ 介助に入る前に利用者様の様子を観察し、コミュニケーションをとっている
□ ボディメカニクスの知識を持っている
□ 痛みや不快感のない体への触れ方、持ち方ができる
□ 車椅子の取り扱いについて正しい知識を持っている

ステップアップ
□ ボディメカニクスを利用した介助ができる
□ リフトやスレイディングボードなど、移乗用具を適切に使いこなせる
□ 歩行器や杖の知識を持ち、利用者様の状況に合わせて歩行介助ができる
□ 段差や坂道などさまざまな状況で、車椅子を安全に押すことができる

(2)食事、排せつ、入浴、着替えの介助
基本
□ 正しい食事姿勢、誤嚥(ごえん=食べものなどが何らかの理由で、誤って喉頭と気管に入ってしまうこと)防止の知識を持ち、食事介助ができる
□ 自然排せつの重要性を理解し、利用者様のプライバシーに配慮したケアができる
□ 紙おむつについての正しい知識があり、スムーズな交換ができる
□ 入浴時に起こりやすい事故と、防止策についての知識を持っている
□ 正しい着替え介助についての知識を持っている

ステップアップ
□ 利用者様が食事を楽しめるよう、声かけなどでサポートできる
□ 口腔ケアについての知識を持ち、実践できる
□ 便器への移動や移乗を安全にサポートできる
□ スムーズな入浴介助ができ、利用者様が入浴を楽しめるようサポートできる
□ 利用者様の残存機能を生かした着替え介助ができる

C.コミュニケーション技術

(1)職員間のコミュニケーション
基本
□ あいさつができる
□ 相手の話をきちんと聞ける
□ わからないことを周囲に質問・相談できる
□ 起こったことを正確に報告できる

ステップアップ
□ 要点をまとめて簡潔に伝えることができる
□ 周囲と円滑なコミュニケーションをとることができる

(2)ご家族とのコミュニケーション
基本
□ あいさつができる
□ ていねいな言葉遣いで応対できる
□ わからないことを聞かれたら、自分で答えず上司に取り次ぐことができる

ステップアップ
□ 利用者様の様子について、ご家族にわかりやすく説明できる
□ 相手の心情に配慮しながら、ていねいな応対ができる
□ クレームに迅速に対応できる

D.認知症の知識と対応法

基本
□ 認知症についての正しい知識を持っている
□ 認知症の症状に合わせた適切な対応方法を知っている
□ 認知症をもつ利用者様の経歴や得意なことなど、必要な情報を覚えている

ステップアップ
□ 認知症の問題行動に対し、慌てず落ち着いて対応することができる
□ チームで協力して認知症トラブルに対応できる
□ 認知症ケアで介護職が受けるストレスについて自覚し、コントロールできる

E.リスクマネジメントの技術

基本
□ 事故防止マニュアルを理解し、事故が起こる要因や環境について把握している
□ 事故が起きたときの対応方法を把握している

ステップアップ
□ 事故やヒヤリハット(=事故には至らなくても、場合によっては事故に直結したかもしれない「ヒヤリ」「ハッと」するような事例のこと)が起こったとき、適切に対応できる
□ ヒヤリハット報告書を適切に作成することができる
□ ヒヤリハットから得た知識を生かして、業務に取り組んでいる

F.レクリエーションの技術

基本
□ レクリエーションの目的や効果について理解している
□ 危険のないようレクをサポートすることができる

ステップアップ
□ 利用者様の趣味・関心に合わせたレクリエーション企画ができる
□ 利用者様の意欲がわくような声かけを工夫できる
□ 利用者様が楽しめる司会進行ができる
□ 次回につながる振り返りができる

G.ターミナルケアの方法

基本
□ ターミナルケア(=終末期医療)に関する知識を持っている
□ グリーフケア(=身近な人と死別して悲嘆の日々を過ごしている人に寄り添い、その深い悲しみからの回復をサポートすること)に関する知識を持っている

ステップアップ
□ からだの痛みを和らげられるよう、医療職と連携できる
□ ご本人の意思をくみ取り、精神的なつらさを和らげられるよう支援できる
□ ご家族への支援(付き添いができる環境づくりや、介護疲れへの配慮など)ができる

H.その他の介護技術

基本
□ 介護記録を適切に記入することができる
□ 服薬介助が適切に行える
□ バイタルチェックができる

ステップアップ
□ 夜勤ができる
□ 利用者様の常用薬について、必要な知識を持っている
□ ボディメカニクスを利用し、自身の肉体的負担を軽減できる
□ 自身の心理的負担の状況を把握し、ストレスマネジメントができる

知識と経験の両輪でスキルアップを

ステップアップを積み木で表現

上で挙げた以外にも、施設によってパソコンを使った入力作業があったり、さまざまなテーマで研修を受講したり、会議に参加して発言したり・・・。介護職に求められる仕事はとても幅が広く、それぞれに技術を高めていく必要があります。

でも、これほど多岐にわたる介護技術をぜんぶ一度に習得しようとすると、どんな人でもパンクしてしまいます。まずはすべての基本になる考え方を身につけ、日々経験を積むことでひとつずつ学んでいきましょう。

新人職員はあせらずに、Aの「職業倫理と接遇マナー」から身につけていくと良いでしょう。基本がしっかりしていれば、問題が起こったときも対応に困りません。そして、周囲から信頼を集める介護職員へと成長できるはずですよ。

この記事をシェア

  • Twitter
  • facebook
  • LINE

週間人気ランキング

かいごGardenとは?

“かいごGarden”はツクイスタッフが運営する介護の情報サイトです。介護に関する情報をお届けいたします。
介護のお役立ち情報や、介護の仕事のお悩み情報なども掲載しています。