接遇マナーを身につければ、介護の仕事が楽しくなる

介護の仕事


「〇〇ちゃん、よくできたねー」「そんなことしちゃ、だめでしょ」

少し前まで、これは介護の現場で珍しくない会話でした。「家族や友だちのように、親しく話しかけてあげるほうが良いのよ」と先輩介護スタッフの方から学んだ人も多いのではないでしょうか。

そういった言葉遣いが絶対に不正解という訳ではないのですが、最近は、「お客さまとしてきちんとした言葉で接しよう」という流れに変わってきました。このようにおもてなしの心を持って周囲の人と接することを「接遇」と言います。

このコラムでは、接遇マナーが必要とされるようになってきた理由や、介護スタッフが身に付けておきたい基本について解説します。また接遇マナーを身につけると、実際にどんなメリットがあるのかについてもご紹介します。

きちんとしたマナーを身につけて、周囲の人も自分も気持ちよく働ける職場にしていきましょう。

介護の現場で、言葉遣いが注目されている

利用者さんと家族のように接するのは親しみの表現。それ自体は悪いことではないのですが、最近は、きちんと敬語や丁寧語で接するようにしようという流れになってきました。

その背景にあるのが、平成12年にスタートした介護保険制度。それまでは役所から紹介されていた事業所を、利用者さん自らが選べるようになったことで、介護事業所は「選んでもらえる場所」になる必要が出てきました。また、介護事業に参入する一般企業も増えたこともあり、「サービス業としての介護」という考え方が浸透しつつあります。

そのため、介護スタッフに対しても、従来の「礼儀作法」から、さらに一歩進んだ「接遇=おもてなしの心を持って相手と接する」という考え方が求められるようになってきたのです。

さらにもう一つの要素として、もうすぐ団塊の世代が介護サービスの利用者さんとなります。彼らは企業の第一線で活躍し、しっかりとした接遇マナーに慣れている世代。その人たちが利用者さんとして入ってくると、介護スタッフにもより質の高い接遇サービスを求められることが予想されます。

お友だちのような感覚で接していると、「社会人としての基礎がなっていない」と思われてしまいかねません。今のうちから意識して、相手に好感を与える言葉遣いや接し方のマナーを身につけていきましょう。

言葉遣いに気をつけることのメリット

介護事業所としての印象や信頼性につながる言葉遣いですが、もちろん、あなた個人にとっても多くのメリットがあります。以下にピックアップしてみましょう。

  • 「敬語が正しく使える人」として信頼感が増す
  • 利用者さん(目上の人)の「いつまでも尊敬されていたい」という気持ちに応える
  • きちんとした対応を身につけている人として、周囲から評価される
  • 職場スタッフ同士のコミュニケーションが円滑になる
  • 施設全体の信用がアップする

とくに、介護施設のネガティブなニュースが報道されたりすると、周囲もそれに影響され、見る目が厳しくなることがあります。「この施設は大丈夫かしら」などと疑いの目で見られるのは心外ですし、スムーズなお仕事の妨げにもなりますね。

きちんとした接遇マナーを身につけて実践していると、利用者さんのご家族や、施設見学に来た人にも好印象を持ってもらえます。「スタッフの教育ができている」「きちんとした施設だ」と安心してもらえれば、あらぬ疑いを持たれることもありませんし、自分たちの身を守ることにつながります。

家族の気持ちにも配慮しよう


利用者さんによっては「家族のように話してくれたほうがいいのよ」という人もいますね。敬語をよそよそしいと感じる人もいたりと、人によって接し方の好みは分かれるのも事実です。けれども、あなたの言葉遣いを聞いているのは、利用者さんだけではありません。

ご家族は質の高いサービスを経験しているケースがほとんどですから、介護の現場とはいえ、なれなれしい言葉遣いに違和感を覚えたり、「自分の親を大切に扱ってくれているのだろうか」と、不安になってしまうかもしれません。

とくにご家族から嫌がられることが多いのは、食事介助のときの「はい、あーん」や「ちゃんと食べられてえらいねー」などといった声かけ。自分の親が幼児のように扱われているのを見て、大きなショックを受けてしまうからです。

認知症であっても幼児語はNG

「相手が認知症だと、幼児語の方が伝わりやすいのではないか」という考えもありますね。

たしかに、認知症になると言葉の意味が理解しにくくなることがあります。「噛む」の意味がわからなくても、ジェスチャーや「モグモグ」といったオノマトペで伝わることもありますので、必要に応じて臨機応変に使うなら、すべてが悪いわけではありません。でもそんなときでも、相手が決して子どもに戻ったわけではないことを、しっかりと心に刻んでおくことが大切です。

認知症の人は、短期記憶は忘れてしまっても、子ども扱いされたときに感じた屈辱感といった、感情記憶は残ります。相手に対する敬意を忘れず接することを基本にしていきましょう。

大切なのは伝え方

何よりも重要なのは、「利用者さんと介護者の間に信頼関係ができているか」です。相手を見ていない、早口でまくしたてる、笑顔がないといった接し方では、どんなに丁寧な言葉遣いでも利用者さんが心地よくなるはずはなく、接遇マナーができているとはいえません。

逆にタメ語やくだけた言葉遣いでも、すぐれた介護技術を身につけていて、利用者さんから人気のある介護スタッフの方もいますね。でも、誰もがみんな、その方の真似ができるわけではありません。逆に言えば、そんなすぐれた介護スタッフの方は、丁寧語を使っていても、利用者さんと良い関係を築けます。

大事なことは「相手を大切に思う気持ちを表現する」ことで、そのためにまず言葉遣いや姿勢から整えることが役立つ、と考えてみましょう。

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